~とある会社のデスクにて…~

う~ん…。

吉田さん、どうしたの?そんな思い悩んだ顔をして。

あ、そらまめさん。
いやね、部長から
「もっとお客様の視点でうちの製品における課題とその改善点を見つけてこい」
って言われてるんだけど、何からしたらいいか分からなくて…。

うわぁ、急だね…。

お客様視点で…か。
そんなときは、カスタマージャーニーマップを作って、
お客さんが製品を購入するまでの流れを一旦可視化してみると
何かヒントが得られるかもしれないよ!

カスタマージャーニーマップ…?
カスタマージャーニーマップとは?
まず、カスタマージャーニーの意味をそのまま直訳すると、「客の旅」となります。
例えばお客様が商品を購入するとき、お客様はただ「商品を購入した」というだけではありませんよね。
「どうやってその商品を認知したのか」や、「商品を購入した後どうしたのか」といったように「商品の購入」の前後にもあらゆる行動や感情が生まれています。
このように、お客様が商品を
認知→購入→購入後の行動(例えば評価、口コミ、メンテナンスなど)に至るまでを
一回の「旅」と捉え、
その一連の行動を時系列で把握する考え方を、カスタマージャーニーと言います。
つまり、お客様視点での商品・サービスに対する行動や思考、感情の移り変わりのプロセスのことを指しています。
カスタマージャーニーを見やすく紙に書き出して可視化したものを、カスタマージャーニーマップと言います。

カスタマージャーニーマップを使えば、簡単に「お客様から見た自分たちの製品」を見ることができるので、自分の製品の課題や改善点が見つけるときに便利です。
その他自社製品への理解を深めたいときにも有効です。
カスタマージャーニーマップを作る目的とメリット
作成の目的
カスタマージャーニーマップを作る目的は、基本的に
「時系列でお客様の行動・思考・感情を可視化し、整理すること」です。
カスタマージャーニーマップを利用することで、今まで見えてこなかったお客様の課題やニーズを発見することができます。
カスタマージャーニーマップを作るメリット
カスタマージャーニーマップを作成し、可視化することで次の2つのメリットを得ることができます。
メリットその①チーム内で統一したアイデアの共有が容易になる
カスタマージャーニーマップを作成・共有することで、それぞれ違う方向を向いていたメンバーの中に基準点を示すことができます。
このことで、チーム内の意見の共有がスムーズにいくようになり、迅速な意思決定につながります。
さらに、お客さまに一貫性のあるサービスを提供することにもつながります。
メリットその②お客様視点で戦略が立てられる。
カスタマージャーニーマップを作成することで、商品の提供側(生産者側)は必然的にお客様の視点で商品を捉えなおすことができます。
そのことにより、自社の製品やサービスの理解を深めることができるだけでなく、さらなる課題やニーズの発掘が期待できます。
カスタマージャーニーマップの作り方
今回はA社製品である格安スマホを例としてカスタマージャーニーマップを作っていきます。
STEP1:事前準備
カスタマージャーニーマップの作製に取り掛かる前に、以下の2つを先に設定します。
目的とゴールの設定(例)
<目的>
弊社の展開している格安スマホの販売を促進するため。
また、満足してお客様に弊社の格安スマホを使ってもらうため。
<ゴール>
格安スマホを購入する際のお客様の行動や感情を可視化し、課題箇所を特定する。
そこからさらに改善案を出す。
ペルソナの設定と共有
カスタマージャーニーマップを作成する際は、お客様モデルとなるペルソナ設定(顧客設定)をしなければなりません。

STEP2:土台となるマップを作成
横軸の設定

横軸は時間軸を設定します。
今回は例として、時間軸を過去・現在・未来とし、
お客様がA社の格安スマホを認知~利用開始までの流れを可視化します。
フェーズは認知する/比較・検討する/質問・確認・申し込み/利用開始・その後
とします。
縦軸の設定

縦軸には、それぞれのフェーズにおける行動、利用媒体、思考と疑問、感情、課題を設定します。
STEP3:フェーズごとに洗い出していく。
フェーズ1:過去(認知する)

商品を購入するには、第一段階としてその商品を認知するところから始まります。
まず、ペルソナの高橋さんはどのようにしてA社の格安スマホを認知するのか、
どのような媒体でA社の製品を知るのか、
A社の製品を知ったとき、どんなことを考え、どんなことを疑問に思うのかを、
自分が高橋さんになったつもりで上から順番に書いていきます。
フェーズ2:過去(比較・検討する)

製品を認知したら、次はその製品や同業他社の製品を自分から調べる段階に移ります。
ここもフェーズ1と同様に空欄を埋めていきます。
フェーズ1と違い、自ら能動的に情報を集めようとしますので、出てくる疑問は具体的なものになりそうです。
フェーズ3:現在(質問・確認・申し込み)

ある程度自分で製品について調べたら、次は実際に購入するかどうかの最終検討に入ります。実際に店舗に行って話を聞いたり、相談したりすると考えられます。
フェーズ4:未来(利用開始~その後)

ここでの段階では実際に商品を店頭(もしくはオンラインショップ)で購入して以降の行動や思考を書いていきます。
商品の購入は、買って終わりではなく買った後にいかに満足してもらうかが大切になってきます。
ですので買った直後やその先の未来における行動や思考も、考えられる要素をできるだけたくさん洗い出していきましょう。
STEP4:各フェーズごとに想定される課題を考える
STEP3でお客様の行動や思考を埋めていくと、それぞれのフェーズでは何が課題となるのかが浮き彫りになってくるはずです。
それぞれのフェーズごとに想定される課題を考えていきます。

以下に、今回の設定での例を挙げておきます。
『フェーズ1:過去(認知する)』での課題の具体例
・格安スマホ=難しそう
乗り換えが面倒くさそうという
イメージを払拭できていない
『フェーズ2:過去(比較・検討する)』での課題の具体例
・格安スマホは提供事業者が多すぎて
何を選べばいいかが分かりづらい
・何を基準に選べばいいのだろう
・具体的なデメリットが伝わりづらい
『フェーズ3:現在』での課題の具体例
・大手キャリアと比較し相談しづらい
・最新のスマホが使えない
・通話料金が高くなってしまう
『フェーズ4:利用開始~その後』での課題の具体例
・もっとお手軽に素早く相談できる環境を用意しなければならない
このように、各フェーズごとに考えられる課題を挙げていきます。

課題は一つとは限りません。
自社の課題だけではなく、業界そのもののイメージが課題となることだってあります。
さまざまな角度から課題を課題を見つけましょう。
STEP5:課題を分析する
各フェーズごとに想定される課題を書き出すことが出来たら、いよいよ大詰めです。
どの課題を解決すると、最初に設定したゴールに近づくのかを精査しながら、優先順位を決めて改善案を考えていきましょう。
例えば例としてフェーズ4の課題を見てみます。
フェーズ4では「もっとお手軽に素早く相談できる環境を用意しなければならない」ということが課題でした。
確かに、製品を購入してもらったとしても、その後には何かしらトラブルがあって相談したくなる場面はあるかもしれません。
そういった時、すぐに相談できる環境がないとお客様の満足度は低下し、A社製品への愛着は薄れてしまうことが予想されます。
であるならば、
どのようにすれば商品購入後にも相談しやすい環境を作ることができるか、
どんな対応が私たちにはできるか
といったように議論を広げ、解決策を模索していきます。
このように、各フェーズで出た課題ごとに優先順位を決めて解決策を決めていきましょう。
そして、この課題をクリアすれば、高橋さんはA社の格安スマホを安心して長く使っていくことになるかもしれない、と考えていきます。
✔作成時のワンポイントアドバイス:各項目に思いつく限り書き出してみよう
他のジャーニーマップ解説の記事では、各項目に1つしかかいていなかったりします。
ですが実際に作るときは「もしかしたらこれは関係ないかもしれない」ということまでとりあえずたくさん書いてみることをおすすめします。
なぜなら人の行動を決定する要因は一つではなく、常に複数存在するからです。
さらにとりあえず考えられる要因を洗い出すことで意外な発見や見落としが見つかるかもしれません。
まとめ
カスタマージャーニーマップは、お客様が商品を認知してから購入した後までの一連の流れを可視化してまとめたものです。
カスタマージャーニーマップは簡単に自社製品の課題を洗い出す場合や、自社製品への理解を深めたいときには非常に重宝されます。
会社での企画等で製品を見直す場面があったときは是非とも使っていきましょう。
また、例えば学生が企業のインターンなどでグループワークがあった際、このマップのことを積極的に活用しようとすれば優秀だと思われますし、人事の印象にも残ると思います。
カスタマージャーニーマップは使い方や作り方をしっかり理解して使えば、強力な武器になりますので有効活用していきましょう。
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