エルマ
前作『だから僕は音楽を辞めた』の続編となる2ndフルアルバム『エルマ』。
前作の主人公の青年“エイミー”から送られてきた手紙に影響を受けた女性“エルマ”が手掛けた14曲が収録されています。
憂一乗
「藍二乗」のアンサーソング。水の中の底から見る景色を曲にした、なんとも美しい曲となっています。
エイミーの入水自殺は、きっとこんなに美しいものだったんだよね、と願うエルマの思いが見えてくる気がします。
気泡を吐き出して数秒、やっと足が着いた 柔らかな泥の感触がした
歌詞の一部をそのまま引用
夕凪、某、花惑い
「八月、某、月明かり」のアンサーソング。エイミーがロックンロールを書いたように、それに倣ってエルマもロックンロールを書く。
花泳ぐ 夏を待つ 君は言葉になる
歌詞の一部をそのまま引用
雨とカプチーノ
「詩書きとコーヒー」のアンサーソング。エイミーと過ごす、幸せな未来を想像して描いたエルマの夢。叶わぬ夢。
君が褪せないようにこの詩を どうか、どうか、君が溢れないように
歌詞の一部をそのまま引用
雨とカプチーノについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
【ヨルシカ考察】あまりにも儚い名曲『雨とカプチーノ』に涙が止まらない
神様のダンス
「踊ろうぜ」のアンサーソング。エルマにとっての神様はエイミーのことなので、エイミーが作った音楽を「神様のダンス」と表現しています。
君の口癖が感染ってる 喉の真下には君がいる
歌詞の一部をそのまま引用
雨晴るる
「六月は雨上がりの街を描く」のアンサーソング。作詞家n-bunaさん曰く、種田山頭火のある句からタイトルをとっているそう。
言葉になろうと残った思い出だけが 遠い群青を染めた
歌詞の一部をそのまま引用
歩く
「五月は花緑青の窓辺から」のアンサーソング。エイミーが旅をした街をエルマが追っていくという曲です。
妄想でもいいんだ 君が居てくれたらいいや
歌詞の一部をそのまま引用
心に穴が開いた
「夜紛い」のアンサーソング。「夜紛い」は、音楽で君(エルマ)に穴を空けたいんだと言っています。そしてエルマは「だから心に穴が開いた」と返しています。
君の人生になりたい僕の、人生を書きたい
歌詞の一部をそのまま引用
声
「パレード」のアンサーソング。実は、「だから僕は音楽を辞めた」の手紙の中で、“パレード”のことについて、“声のことだよ”とかいてあります。
黙ったって喉の奥にいる、神様の話
歌詞の一部をそのまま引用
エイミー
「エルマ」のアンサーソング。エルマが旅の中で最後に書いた曲であり、エルマ自身が初めて自分の音楽を作りたいと思って書いたという立ち位置の曲です。
想像力が僕をなぞっている あの夏にずっと君がいる
歌詞の一部をそのまま引用
ノーチラス
エイミーにとって”終わりの曲”であり、エルマにとって”始まりの曲”です。
エイミーの残した手紙で、エイミーを思い出しながら、エルマは作曲を手がけます。エイミーとの記憶が色褪せないように。
丘の前には君がいて 随分久しいねって 笑いながら顔を寄せて さあ 二人で行こうって言うんだ
歌詞の一部をそのまま引用
盗作
エルマとエイミーの物語から約1年。ヨルシカの新アルバム『盗作』は、「音楽の盗作をする男」を主人公とした男の“破壊衝動”を形にした楽曲全14曲が収録されています。
昼鳶
昼鳶とは、昼間、人家などに忍び込むこそどろのこと。
盗作家の男の人生の中での空き巣をしていた時代が描かれています。
ただ何も無いから僕は欲しい この渇きを言い訳にさぁ
歌詞の一部をそのまま引用
春ひさぎ
パッと聞けば遊女の掛け合いと捉えられるこの歌詞も、紐解いていくと商売として音楽をやっている意識を皮肉る曲となっています。
左様な蜻蛉の一つが善いなら忘れた方が増し
歌詞の一部をそのまま引用
爆弾魔(Re-Recording)
アルバム『負け犬にアンコールはいらない』に収録された曲を再度レコーディングした曲です。
n-bunaさんによれば、今回のアルバムが「爆弾魔」から着想を得ているとのこと。
さよならだ人類、みんな吹き飛んじまえ
歌詞の一部をそのまま引用
レプリカント
我々はみんな偽物であり、誰もが偽物の自分というものに頑張って価値を見出そうとしている。そういったことを歌詞に表現した曲です。
あんたの価値なんて偽物だ 思い出だって偽物だ 心は脳の信号なんだから
歌詞の一部をそのまま引用
花人局
一見すると、美人局そのものを歌ったような曲に聞こえますが、その真相は盗作男の妻を描いた、重く辛い曲です。
下の歌詞で号泣しました。
明日にはきっと戻ってくる 何気ない顔で戻ってくる 今になってドアが開いて聞こえる
ごめんね遅くなったって
歌詞の一部をそのまま引用
盗作
アルバムと同名であり、アルバム全体を表した曲です。
盗作男の心情が赤裸々に描かれています
彼奴も馬鹿だ。こいつも馬鹿だ。褒めちぎる奴等は皆馬鹿だ。
歌詞の一部をそのまま引用
思想犯
n-bunaさんによると、「思想犯」というテーマ自体は、ジョージ・オーウェルの『1984』という小説が元になっているとのこと。また、曲の歌詞には尾崎放哉の辞世の俳句「春の山の後ろから烟が出した」がオマージュされています。
また、歌詞の”爪先立つ”は、”妻先立つ”ことの伏線と言われています。
爪先立つ、雲が焼ける、さよならが口を滑る
歌詞の一部をそのまま引用
逃亡
男の想い出が描かれています。描かれている思い出は夏祭り。
この夏の思い出が、男にとって特別なものなのでしょう。
さぁ、もっと遠く行こうよ さぁ、もっと逃げて行こうぜ
歌詞の一部をそのまま引用
夜行
大人になること、忘れてしまうこと、死へ向かうことを夜に例えて書いた詩。
はらはら、はらはら、はらり 晴るる原 君が詠む歌や 一輪草 他には何もいらないから
歌詞の一部をそのまま引用
花に亡霊
映画「泣きたい私は猫を被る」の主題歌であり、アルバム『盗作』の最後の曲。
あの盗作男が、最後にはこんなにも美しい音楽を奏でるようになるのです。
「亡霊はつまり想い出なので、夏に咲く花に思い出の姿を見る、という意味の題です。」とn-bunaさんはコメントしています。
言葉じゃなくて時間を 時間じゃなくて言葉を
歌詞の一部をそのまま引用
創作
2021年1月27日にリリース。収録曲を単品で聴くと”春”をテーマにした曲が多いですが、アルバムのコンセプトとしては、”音楽の盗作をする男”の物語を描いた『盗作』の地続きです。
強盗と花束
この歌に出てくる”花束”は、”死にゆく妻に送る花”。
「強盗で奪った花束が、死にゆく妻に送るためのものだと言ったら許されたという歌詞」とn-bunaさんは語っています。
強盗と花束の違いとは何なのでしょうか。
強盗と花束に何かの違いがあるのですか それ、何が違うのですか
歌詞の一部をそのまま引用
春泥棒
大成建設のCMソング。
春の桜の美しい情景を描きながらも、春風が儚く脆い桜の花びらと妻をさらっていく様子を、”春泥棒”と表現しています。
花開いた今を言葉如きが語れるものか
歌詞の一部をそのまま引用
風を食む
現代の消費社会がテーマとなった曲で、TBS系「NEWS23」のエンディングソングとして作曲された曲。
歌詞に出てくる”天飛ぶや”は、万葉集で柿本人麻呂が”最愛の妻が亡くなった際に読んだ挽歌”であり、ここも妻の死が伏線となっています。
草流れ 天飛ぶや 軽く花の散るを眺む 今、風を食む
歌詞の一部をそのまま引用
風を食むについては、こちらで詳しく解説しています。
ヨルシカ『風を食む』徹底考察―テーマは消費社会と「貴方」への想い
嘘月
嘘月は尾崎放哉の晩年をオマージュした、あまりにも綺麗な曲。
n-bunaさんは、尾崎放哉は孤独な人で嘘つきな人だとした上で、「僕も同じなんですけど、彼らには”他人に理解されなくてもいい”と思いながら人に理解されたい、してほしいという傲慢がある。矛盾からは良い作品が生まれますからね」とコメントしています。
嘘つきは泥棒の始まりですね。
さよならすら 云わないいまま 君は夜になっていく
歌詞の一部をそのまま引用
まとめ
2020年11月時点でのヨルシカの発表している全45曲を一言解説付きで紹介してきました。
今までさらっと聞いていたけれど、そんな意味があったのか」といった発見もあったのではないでしょうか。
ヨルシカの曲には、それぞれ徹底された世界観の元何かしらのメッセージ性を孕む楽曲も数多く存在しています!
この記事を見て、興味の出た楽曲があれば一度深く聞いてみてはいかがでしょうか。
新たな発見があるかもしれません。
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